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翻唱 演奏 老歌 嗨歌 好看
、お葉の歩くべき日が来た。 『さ、今日は少し歩く稽古をしませうね。』 けれども、彼女はどうしても恐ろしくって、ベッドの下に足を降すことが出来なかった。 『あ、草履を持って来ませうね、一寸(ちょいと)おまちなさい。』 看護婦が急いで行って、一足の紅緒(べにを)の草履を足元にそろへた。お葉は、慄へながら血気(ちのけ)のないやうな、白い死んだやうな片足をそっと降した。 『まあ、片方(かたっぽ)でよかったのに、私もよっぽど馬鹿な――。』 草履を持って来た看護婦が、その時大声で笑った。彼女は恐ろしさに慄へながら茫然とその女の顔を見た。その時、室内の日が急にかげって、すべてが淡暗く物悲しく見えた。どうして自分が床の上に立上るなんていふ事が出来よう。彼女の足は、ベッドから垂れて、ぶる/\